4.建築用発泡プラスチック系断熱材の熱抵抗の長期変化の測定方法の標準化事業
(1)概要
NEDOからの委託事業で、「建築用発泡プラスチック系断熱材の熱抵抗の長期変化の測定方法」の標準化の実現可能性の検討を行った。
(2)2009年度の成果
これまでの研究から、発泡プラスチック系断熱材は時間の経過に伴って断熱材中の発泡ガスが放散することにより、断熱性能が低下することが指摘されており(図2)、統一的な方法で測定・評価、性能表示が求められている。
国際規格ISO 11561をベースにした標準化(JIS化)を検討する上で、昨年度は“被覆層”の発泡ガス放散抑制効果の評価に主眼を置き、被覆層を透過する気体の拡散抵抗を定量する方法の開発検討を行った。“被覆層”は成形スキン層と面材に分類されるが、前者はその有無による熱伝導率の経時変化から、後者はJIS K 7126により測定するガス透過度から拡散抵抗を定量することにより、被覆層を有する断熱材の熱抵抗の長期変化を数値解析手法で予測できることを明らかにした。
また、断熱材を選定し使用する立場である住宅生産者や供給者に対して、断熱材の長期性能変化とその評価に関する考えなどを調査し、概して長期性能変化に対する認識が一般化しつつあるものの、その評価方法が確立されていないことから実務に十分に反映されていない現状を明らかにした。この調査結果から、住宅生産者や供給者が評価方法の標準化を期待していること、これが確立することで、断熱材の利用が拡大する可能性があることが示唆された。
以上の結果から、試験体の作製・加工方法等に部分的な検討課題を残すものの、2010年度内に「建築用発泡プラスチック系断熱材の熱抵抗の長期変化の測定方法(試験室における促進試験方法)」のJIS原案を作成することが可能と判断した。

図2 経過時間と熱伝導率の関係
「断熱材の長期断熱性能評価に関する標準化調査成果報告書」2008年3月、NEDO
(3)2010年度の計画
本年度内にJIS原案の作成を行うことが計画されている。