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2011年度調査研究事業報告

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建材試験センターでは、官公庁や民間企業・団体などからの依頼を受け、政策の普及促進や国内外標準化活動、技術開発を支援する試験・評価方法の開発等を目的とした調査研究を実施しています。
調査研究の課題は時々の社会ニーズに沿ったものが多く、近年では住宅・建築物の長期使用、資源の有効活用、地球温暖化対策、居住環境の安全・安心といった課題が中心になっており、試験・評価方法の開発を進めています。
ここでは、2011年度に委託を受けて実施した3件の調査研究について、その成果概要を報告します。また、当センターの自主事業として開催したセミナー・シンポジウムのうち、「コンクリート用溶融スラグ骨材の試験方法等の標準化に関するシンポジウム」についても併せて報告します。

1.揮発性有機化合物検知器の評価法に関する標準化

(1)背景・概要

(株)三菱総合研究所からの委託事業として、(独)産業技術総合研究所との共同で揮発性有機化合物(VOC)の簡易検知器(図1参照)の客観的評価法の確立に向けて国際規格原案の作成・審議を行った。
室内環境を保つための自主的取組みとして、簡易VOC検知器を用いたモニタリングのニーズが高まっている。しかし、これらの簡易的なVOC 検知器については、その評価法がいまだに確立されておらず、各メーカーが独自の手法で評価しているのが現状である。また、VOC 検知器を対象とした評価法のJIS や国際規格もなく、広くガス検知器全体の規格制定状況を見ても、メタン、一酸化炭素等の可燃性ガスを対象とした検知器の国際規格(IEC60079-29-1)、および水素を対象とした検知器の国際規格(ISO/FDIS26142)が存在するのみである。
本事業は、提案中のISO16000-29 “Test methods forVOC detectors”[VOC 検知器の試験方法]の国際規格の制定を目標として実施したものである。当該標準化事業の実施に当たり、その目標を達成するために、(1)各種VOC 検知器を用いた評価法の検証、(2)国内委員会活動、(3)国際会議活動を行った。

対象となるVOC検知器の例

図1 対象となるVOC検知器の例


(2)2011年度の成果

揮発性有機化合物(VOC)検知器の評価方法の標準化を行うに当たり、当センターは委員会活動を担当した。委員会活動として、この評価方法をISO/TC146(Air quality:大気の質)/SC6(Indoor air:室内空気)へ国際規格として提案するため、同SC の国内委員会(事務局:建材試験センター)の下に検討委員会を設置して、メーカーおよびユーザーと共に規格原案作成に向けた審議を行い、規格原案の作成を行った。
2011 年9 月に開催されたISO/TC146/SC6/WG16(Testmethods for VOC detectors:VOC 検知器の試験方法)国際会議において、関係者に規格原案の説明がなされ、規格に対する審議が行われた。審議の結果、CD(委員会原案)として検討を進めてよい旨が決議された。これを受け、本事業で当センター内に設置した国内検討委員会においてCD の検討が進められた。これらの一連の検討結果について、事業の成果報告書として取りまとめを行った。


(3)2012年度の計画

本年度は、昨年度までの成果を受けて引き続き国際規格原案の作成および審議を行うことが計画されている。本年度は、CD の次段階であるDIS(国際規格原案)、さらにFDIS(最終国際規格原案)段階への移行を目標として審議を進める予定である。

2.室内空気関係の改正JIS 原案の作成

(1)背景・概要

(株)三菱総合研究所からの委託事業として、室内空気関係の改正JIS 原案の作成に関する検討を行った。室内空気関係のJIS は、経済産業省が主管の13 規格と国土交通省が主管の10規格の計23規格があり、これらが改正検討の対象となっている。
近年、住宅の高気密・高断熱化に伴い、1990年代後半よりシックハウス問題が顕在化し、経済産業省による建材からのホルムアルデヒド発散量規定、厚生労働省による室内濃度の指針値の公表、国土交通省による建築基準法の改正など、様々な対策が行われてきた。
建築基準法改正やシックハウス対策のため、室内空気中の化学物質の濃度測定および建材からの汚染化学物質の放散量測定について規格化が進められたものである。規格の作成にあたっては、国際的な動向も視野に入れながらISO/TC146(室内空気)/SC6(大気の質)で提案・制定されているISO(一部CD、DIS)を基に国内の施策、研究動向を反映してJIS 化された。JIS が規定されたことにより、中国、韓国などのアジア諸国では、JIS を参考に国内の規格化が進められており、JIS を適切に改正していく必要性が求められている。我が国においては、室内空気関係JIS が多岐にわたる強制法規に引用されている。主な強制法規は、厚生労働省で公表している「室内空気中化学物質の採取方法と測定方法」、「室内空気中化学物質の測定マニュアル」、文部科学省で策定している「学校環境衛生基準」、「学校環境衛生管理マニュアル(改訂版)」、国土交通省等のホルムアルデヒドに関する大臣認定制度や「住宅の品質確保の促進等に関する法律に基づく住宅表示制度」などがある。これらの背景を勘案し、室内空気関係JIS の一括した規格改正を目的とし本調査研究事業に取り組んだ。


(2)2011年度の成果

2年計画の初年度として、次の調査および検討を行った。

(1) 国際規格の調査

室内空気関連のJIS は、原案の作成にあたって国際的な動向も視野に入れ、ISO/TC146/SC6 で提案・検討されている国際規格(ISO)または規格原案(CD、DIS 等)をもとに国内の施策、研究動向を反映してJIS 化が進められた。
この際に参考としたISO 原案はその後修正などを経てISO(ISO16000:Indoor air シリーズ)として制定・発行されている。これらの最新国際規格の調査を行いJIS の規定内容と比較し、改正のために必要な変更点等を調査した。検討対象となっている各JIS と対応するISO の関係を図2および図3に示す。

建材等からの放散測定に関するJISとISOの関係

図2 建材等からの放散測定に関するJISとISOの関係

 

室内空気測定に関するJISとISOの関係

図3 室内空気測定に関するJISとISOの関係

 

(2) 改正に関する検討および原案作成

現行JIS の規定内容を確認すると、国内で一般に用いられているもののJIS で規定されていない方法や、ISO に規定されているものの国内では入手が困難な試薬など規定内容に検討すべき課題がある。今回の改正原案の作成にあたっては、国際規格を含む関連規格を総合的に検討し、さらに国内関係団体等の意見を調査し、これらを踏まえて改正についての検討を行った。
2011年度は、室内空気関連のJIS のうち、建材等からの放散測定に関する13件のJIS を対象として改正原案の作成作業を開始した。また、改正検討の対象となっている23規格において、JIS 間で、用語及び定義、記号、単位、式などが必ずしも統一されていないこと、対応する国際規格があるものについては、国際規格と整合がとれていないものがあり、改正原案の作成においては、これらの扱いについてもどのように統一、整合させるかが議論された。
なお、室内空気測定に関する10 件のJIS の改正原案の検討・作成を含め、建材等からの放散測定に関するJIS の最終的な改正原案は、2年目(2012年度)に作成する予定である。
これらの検討結果は、当センター内に設置した委員会(本委員会および分科会)において審議され、成果報告書として取りまとめを行った。


(3)2012年度の計画

2012年度は、改正検討の対象となっている23件のJIS について、必ずしも統一されていない用語及び定義、記号、単位、式などについて、JIS 間、対応する国際規格との整合を含めて引き続き検討を行う。
改正原案の作成対象となっているJIS については、検討委員会の下に分科会を設置し、国際規格との整合を含めた規格の改正見直し作業および改正原案の作成を行う。
本年度は、昨年度の成果報告書をもとに、室内空気関係JIS の改正、国際規格動向等に関するシンポジウムを秋頃に開催する予定である。シンポジウムにおいて広く、室内空気関係JIS の用語等の統一や改正原案に関する意見等を募り、委員会での審議を経て、本年度の成果に反映していくことを計画している。

3.低熱伝導率材料の熱伝導率測定方法の標準化

(1)背景・概要

(株)三菱総合研究所からの委託事業として、熱伝導率が低い材料(以下、低熱伝導率材料と称す。)の熱伝導率を測定する方法を開発し、標準化するための調査研究事業を実施した。
材料の熱伝導率の測定方法は、現在、JIS で数種類の方法が規定されており、その中でもJIS A 1412-1:1999(熱絶縁材の熱抵抗及び熱伝導率の測定方法−第1部:保護熱板法(GHP 法))は、絶対法とも呼ばれ、各測定要素(厚さ、加熱電力[熱流量]、温度差等)の測定値から熱抵抗、熱伝導率などの伝熱特性を求めることができる方法である。本事業で対象としている低熱伝導率材料のひとつに真空断熱材が挙げられ、これは従来の断熱材の10倍程度の断熱性能を持つ。断熱性能がよい材料、すなわち熱伝導率が低い材料は、次に示すように、熱伝導率測定における不確かさが大きくなることが明らかとなっている。
JIS A 1412-1 に規定される保護熱板法(以下、GHP 法)を用いて熱伝導率を測定する場合、その構成(図4 参照)から考えられる熱伝導率測定における不確かさの各要因は、図5のとおりである。熱伝導率測定における不確かさは、図5の各要因を基に合成して推定される。一例として、温度差20℃で厚さ別に拡張不確かさ(κ=2)を算出した結果を図6に示す。拡張不確かさは、熱伝導率が小さくなるほど大きくなり、特に、熱伝導率が0.002W/(m・K)より小さい範囲では、この傾向が顕著に見られる。

保護熱板法( GHP法)の構成

図4 保護熱板法( GHP法)の構成

熱伝導率測定における不確かさ要因図

図5 熱伝導率測定における不確かさ要因図

熱伝導率と拡張不確かさの関係

図6 熱伝導率と拡張不確かさの関係

そのため、低熱伝導率材料の熱伝導率を従来の断熱材と同程度の精度で測定することが可能な試験方法を標準化することを目標として、JIS A 1412-1の改正原案を作成することを計画している。また、国際的なニーズを踏まえて当該JIS に対応する国際規格 ISO 8302(Thermal insulation‐ Determination of steady-state thermal resistance andrelated properties ‐ Guarded hot plate apparatus)の改正提案のための準備および検討を行うことを予定している。


(2)2011年度の成果

3カ年計画の初年度として、国内外における熱伝導率測定における現状および低熱伝導率材料の開発動向について調査した。
また、低熱伝導率材料を含む試験体を、3つの測定機関に回付し、各機関のGHP 法装置を用いて熱伝導率測定を行い、低熱伝導率材料の熱伝導率測定におけるばらつきを把握した。さらに、当センターでの低熱伝導率材料の熱伝導率測定における不確かさを算出した。これらの結果に基づき、熱伝導率を測定するための各要素(厚さ、加熱電力[熱流量]、温度差等)の測定における課題を洗い出した。そのうち、厚さ測定については、三次元座標測定機を用いた真空断熱材の形状測定を試みることにより、測定上の課題を明らかにすることができた。
本年度の成果および次年度以降の調査対象、調査項目ならびに測定結果の検討から抽出された課題等については、当センター内に設置した委員会(本委員会および調査WG)において審議され、成果報告書として取りまとめを行った。

(3)2012年度の計画

3 ヶ年計画の2年目として、初年度の調査で明らかになった調査対象および調査項目について、実態調査やニーズ調査を行い、JIS の改正原案作成および対応国際規格の改正提案に向けた情報を整理する。また、熱伝導率あるいは熱抵抗を測定するために必要な各要素の測定における精度を個別に検討するとともに、解析による検討を行う。これより、低熱伝導率材料の熱伝導率あるいは熱抵抗の測定における精度向上を目的とした標準化に必要なデータの蓄積を行う。
さらに、実態調査および実験検討を受けて、JIS A 1412-1の改正方針の検討および骨子の作成を行う予定である。



4.コンクリート用溶融スラグ骨材の試験方法等の標準化に関するシンポジウム

(1)シンポジウムの概要

コンクリート用溶融スラグ骨材の試験方法等の標準化に関するシンポジウムを9月29 日に工学院大学アーバンテックホールにて開催した。本シンポジウムは、平成21年度および22年度に実施した調査研究事業「コンクリート用溶融スラグ骨材の試験方法等の標準化」の成果を広く周知することを目的に開催したものである。成果報告にあたり、関連する経済産業省の政策紹介、ならびに学識経験者および業界関係者によるパネルディスカッションを行った。シンポジウムには、製品の開発・製造等に携わる関係者、ユーザーなど約120名の参加があり、盛況のうちに終了した。シンポジウム開催時に販売した講演会資料(冊子)および2年間の研究成果報告書(CD-R)(図7 参照)は、シンポジウム終了後も販売している(残数はわずかとなっている)。これら資料などの問い合わせは、調査研究課(TEL:048-920-3814)までご連絡いただきたい。

研究成果報告書( CD-R)

図7 研究成果報告書(CD-R)


(2)今後の展開

今後は、本シンポジウムでの成果を踏まえ、JIS A 5031(一般廃棄物、下水汚泥又はそれらの焼却灰を溶融固化したコンクリート用溶融スラグ骨材)の改正原案の検討へ結びつけたいと考えている。また、2012年3月に経済産業省から提出された「建設分野の規格への環境側面の導入に関する指針」附属書1 コンクリート用スラグ骨材に環境安全品質及びその検査方法を導入するための指針(本文及び解説)の内容についても、あわせて検討を行う予定である。

終わりに

以上、2011 年度に委託を受けて実施した3 件の調査研究および自主事業として開催したシンポジウムについて、その成果概要を報告しました。
当センターでは、官公庁からの委託による調査研究のみならず、民間企業・団体の方々と連携し、企業・団体のニーズに対応した試験・評価方法を開発することで第三者試験機関として社会貢献を果たしていきたいと考えています。

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