試験の目的 |
封止部及び光学薄膜の耐久性を調べる。 |
試験体
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複層ガラス
寸法:350×500mm
構成:原則として材料板ガラスの厚さ5mm、空気層厚さ6mm
試験体数:n = 6
単板ガラス
寸法:50×50mm
試験体数:n = 1 |
試験
方法
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概要 |
耐湿耐候試験、冷熱繰返し試験前後の中空層内部の結露の有無、光学薄膜の放射率の変化を調べる。 |
準拠規格 |
JIS R 3209(複層ガラス)、JIS R3106(板ガラス類の透過率・反射率・放射率・日射熱取得率の試験方法) |
試験装置
及び
測定装置 |
(1) 露点試験器具
(2) 温度測定器
(3) 近紫外線蛍光ランプ
(4) 恒温恒湿槽
(5) 分光測光器(長波長域) |
試験の手順 |
1.露点試験
(1) 露点試験器具に有機溶剤を入れ、-35℃の温度になるように、粉砕したドライアイスを加える。
(2) 有機溶液の温度が安定したら、試験体を露点試験器具表面の銅板に密着させる。その間ドライアイスの小片を加え、液温を所定の温度の上下2℃以内に保つ。
(3) 試験体を容器から離し、ガラス表面についた霜を拭き取り、試験体内部の結露の 有無を観察する。
2.耐湿耐光性試験
露点試験を行った後、試験体を温度55±3℃、相対湿度95%以上の雰囲気中に設置し、所定の期間、近紫外線蛍光ランプを照射する。
3.冷熱繰返し試験
耐湿耐光性試験が終了した後、恒温槽の温度を周期的に変化させ、所定のサイクル数繰り返す。
4.封止の加速耐久性
耐湿耐候試験、冷熱繰返し試験を所定の回数行った後、-30℃の温度で露点試験を行う。
5.光学薄膜の加速耐久性
(1)暴露前の50×50mm程度の単板ガラスについて、分光測光器により、 分光反射率を測定し、JlS R 3106に従い、垂直放射率一を求める。
(2)封止の加速耐久性を行った試験体を解体して、50×50mm程度の単板ガラスのピースを切り出す。
(3)分光測光器により加工面の分光反射率を測定し、JlS R 3106に従い、垂直放射率を求める。 |
評価方法 |
1.露店試験(暴露前):露点温度が-35℃以上
2.封止の加速耐久性{暴露後):露点温度が-30℃以上
3.光学薄膜の加速耐久性:暴露前後の放射率の差が0.02以下 |
結果の表示 |
加速耐久性の区分
結露の有無
暴露前後の放射率 |
解説
1.封止の加速耐久性試験
封止の加速耐久性は、製作後2週間以上経過した試料について、露点試験を行った後、表1に、示す期間の耐湿耐候試験及び冷熱繰返し試験を行い、再度露点試験により複層ガラス内の結露の有無を確認することにより、封止の劣化を判断します。
a)露点試験
銅板製の容器に有機溶剤(エタノ―ル)を入れ、かき混ぜながらドライアイスの小片を加えて、液温を下げます。液温は熱電対によりモニターし、液温が所定の温度になるよう、ドライアイスの分量を調節します。試験体を容器の銅板面に表2の時間密着させ、その後ガラス面についた霜を素早くウエスでふき取り、供試体内面の結露又は結露の有無をスポットライトを用いて観察します。
b)耐湿耐光試験
温度55±3℃、相対湿度95%以上の雰囲気中で、近紫外線蛍光ランプによってガラスと封止材の接着面を照射します。
c)冷熱繰返し試験
恒温垣湿槽内において−20±3℃に1時間保持した後、50±3℃に1時間保持します。変化の勾配は、それぞれ2時間に設定し、これを1サイクルとして所定の回数繰り返します。
表1 封止の加速耐久性試験
試験水準 |
耐湿耐光試験 |
冷熱繰返し試験 |
備考 |
1類 |
7日間 |
12サイクル |
― |
2類 |
7日間 |
12サイクル |
1類に引き続き行う |
3類 |
28日間 |
48サイクル |
2類に引き続き行う |
表2 密着時間
材料板ガラスの厚さ mm |
密着時間 min |
3 |
3 |
5 |
4 |
6 |
5 |
8 |
7 |
10以上 |
10 |
2.光学薄膜の性能の加速耐久性
光学薄膜の性能の加速耐久性は、封止の加速耐久試験前後の放射率の変化を調べます。暴露前の測定は、別途搬入された50×50mm程度の単板ガラスについて行います。
暴露後の試験では封止の加速耐久性が終了した試料を解体し、ガラスカッターを用い50×50mm程度のピースを切り出します。分光反射率の測定は赤外域の分光測光器を用い、JIS R 3106に従い垂直放射率を算出します。測定は湿潤空気による光学薄膜の劣化を避けるため、試料の切り出し後、素早く行います。
JlSでは、暴露前に放射率を測定した単板ガラスを用いて複層ガラスを作成し、暴露後の測定も同一の試料を用いて行うよう規定されていますが、現実には、350×500mmの試料を測定できる分光測光器は市販されていないためJlS通りに試験を行うのは難しい。従って、同一ロットのサンプルを用いて暴露前の放射率の測定を行ってもよいことになっています。